全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病のALS=筋萎縮性側索硬化症の患者団体が24日、厚生労働省で会見を開き、アメリカで承認された新たな治療薬の国内での承認に向けた手続きを迅速に進めてほしいと訴えました。
アメリカで今年(2023年)4月新薬の迅速承認
2023年4月、アメリカの製薬会社バイオジェンが開発した筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬「トフェルセン」が、米食品医薬品局(FDA)から迅速承認されました。
トフェルセンは、ALS患者の約2%を占める「SOD1」と呼ばれる遺伝子の変異が原因の遺伝性のALS患者を対象としています。
この変異があると、毒性のあるたんぱく質が作られ、筋肉を動かす神経が損傷して、症状が徐々に進行していくのですが、この変異した遺伝子に働きかけるのが「核酸医薬」という新しいタイプの薬「トフェルセン」です。
しかし、現在日本ではまだ承認がされておらず、自費での投与となると新薬3回分は約750万円と言われております。
ALS患者の青木 渉さんは、友人・家族により2023年7月に「青木渉サポーターの会」を発足し、新薬「トフェルセン」(商品名:QALSODY™)の日本における早期承認を願って行う活動、ならびに承認前のトフェルセンの投薬治療を受けるための募金活動を行っています。
薬の利益はリスクを上回るとFDAは判断
日本では承認が遅れているが、米食品医薬品局(FDA)は25日、米バイオジェンが開発した筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬「トフェルセン」は「核酸医薬」という新しいタイプの薬で、これまで遺伝子に働きかける薬はありませんでした。
計108人が参加した治験で、28週間後の進行抑制効果を示す目標は達成できず、脊髄(せきずい)炎などの有害事象の報告もありました。しかし、ALSの原因となるたんぱく質を減らす効果はみられ、FDAの委員会は、薬の利益はリスクを上回るとFDAは判断しました。
今後もこうした新たなタイプの薬の開発が続く見込みだが、海外で認められた薬が国内で承認されるまでに時間がかかる「ドラッグ・ラグ」と呼ばれる状態が課題になっています。
(参考文献:朝日新聞デジタル)
ALSは病気の進行が非常に速い場合が多く、特に「ドラッグ・ラグ」により助けられる命も助からない状況は避けられません。
ぜひとも超迅速承認をお願いしたいと切願します。